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May 29, 2005

「猫の事務所」

友人のブログに宮沢賢治の「猫の事務所」が紹介されていたので読んでみました。

読んでいるときは、やはり自分もかま猫の悲しい気持に浸ってしまいました。その描かれている様子があまりにもよくかま猫の心情を表しているので、他の猫を責めたいと思う気持すら薄れてしまいます。

かま猫は皮がうすいので、寒さをしのぐために毎晩竈で寝ています。そのため煤できたないから他の猫に嫌われているのです。そんなきたないかま猫が、普通の猫に近づきたくて竈の外で寝てみる場面があります。でもやっぱり寒くてまた窯に戻り、「僕が悪いんだ」と自分を責めて涙を流すのですが、私はかま猫のつらい気持をここに一番感じました。窯に入って寝たいわけじゃないのだけど、身体的な理由ではどうすることもできないのです。

解説によれば、この話は人間の本質を風刺しているとあります。猫の事務所は、いじめ、差別といった人間社会の歪んだ部分の縮図なんでしょうか。この小説に描かれていることが人間の本質ではあるのですが、これを読んでかま猫に感情移入して涙してしまうのもまた人間の本質なわけです。

最後に獅子が事務所を解散させました。かま猫にとっては名誉ある書記という職を失うことは無念でならないでしょう。でも、もう事務所の中で肩身の狭い思いをしなくてよくなることを思うと、私は少し安心した気持になりました。

この小説の初期形のエンデイングは、かま猫だけでなく、他の猫も獅子もみんな可愛そうと書かれていたそうです。これは何を意味しているのでしょう。自分なりに何日か考えてみます。

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May 28, 2005

カステラくれたひと

 今日は休日出勤だったのですが、昼過ぎに仕事を切り上げ、家に着いたのは15時30分くらいでした。

 最近は自宅の砂町から日本橋までバイクで行って、そこから地下鉄に乗って会社へ行く習慣が定着しているので、この日もバイクで家に帰ってきました。

 家は団地の2階。バイクは家の前に置いているので、2階までは乗り物用のスロープを通って上がります。2階まで上がって建物に入る手前でエンジンを切り、家の前までバイクを押してきて、いつもの位置に置きました。

 すると、そこで遊んでいた4、5歳の兄妹が私に寄ってきて、
「ねえ、前、カステラくれたひと?」と話しかけてきました。私はヘルメットを取り、
「カステラ?」と尋ね返しました。
 直後、私はそのカステラがここに引っ越してきたとき、お隣に挨拶に伺った際に渡したものであることに気が付きました。
「ああ、ここに引っ越してきたときだね…。」そう答えると、おねえちゃんがバイクの椅子をさわりながら、
「ねえ、このなかにヘルメットはいるの?」と聞いてきて、続いてその後を追うように男の子が、
「ねえねえ、みて」とおもちゃの携帯電話らしきものを私に差し向けました。
 一瞬、私はどっちを先に相手にするべきか迷いましたが、バイクの椅子を開けて見せ、おねえちゃんに
「ここに入るよ」と言って実際にヘルメットを入れて見せました。そしてすぐ、男の子の方にも
「それ、なあに?」と聞いて会話を続けました。
 おねえちゃんの方はバイクの椅子の下のスペースが気になるらしく、
「どうやって開けるの?」と聞いてきたので、私は鍵を差し、右に回してもう一度椅子を開けてみせました。
 すると今度は自分でもやってみたいのか、バイクに差したままの鍵を手で触って動かそうとしていました。
「右に回してみな」私はおねえちゃんに自分の手で椅子を開けさせてあげようとしました。
 すると男の子もバイクに興味が移ったようで、おねえちゃんと同様、バイクの鍵のところに近づいてきました。
 椅子を開けるには鍵を少々強くひねらないと回りません。おねえちゃんも男の子も何度かやってみたのですが、まだ鍵を開けるだけの力はないようで、私が手を添えて一緒に開けてあげました。すると、おねえちゃんがおもちゃの携帯電話を中に入れて、椅子を閉めました。そして、椅子の中に自分の物をしまうことができて満足なのか、とても嬉しそうな顔をして私の方を見上げました。
「取れなくなっちゃうよ」と、私は再び椅子を開けておねえちゃんに携帯電話を返しました。
 そのとき、離れたところからおねえちゃんと男の子を呼ぶ別の子供の声がしました。二人とも呼ばれた方へ行くようだったので、私は
「バイバイ」と手を振ると、ふたりも
「バイバイ」と言ってその場を去りました。

 ここに引っ越してきてから1年半経ちますが、自分が昼間いないこともあって、団地の住人と会話をしたことはほとんどありませんでした。それが、今日みたいなひょんなことから小さな子供と知り合うとは夢にも思いませんでした。おねえちゃんと男の子の中で、今日まで私は「カステラをくれた人」だったのでしょう。今日からは「バイクの人」にでもなったのでしょうか。

 昨今の日本では、隣に住んでいる人の顔も知らないのが普通なんてことをよく耳にします。正に自分もそうなんですけど、つまらない反面、その方が楽でもあるわけです。でも、例え子供でも今日みたいに知り合ってみると、次に顔を合わせるのが楽しみだったりします。そんな単純で純粋な気持ちを、子供たちが教えてくれました。

あの子たち、また寄ってきてれるかな。

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May 09, 2005

セ・パ交流戦

テレビのニュースなどで日々取り上げられていますが、あえて書きたいと思います。

やはり交流戦はやって正解でしたね。8日のデーゲームは、ケーブルテレビのチャンネルを変えながら全試合を観ていました。

意外だったのは神戸の試合。オリックスの本拠地に中日ファンがたくさん入っていたことです。試合も接戦で見応えがあったし、パでは下位のオリックスがセの首位・中日に強さを発揮したことも意外で面白かったですね。

パの本拠地にセのファンが来るのか、また逆にセ・の本拠地にパのファンがくるのかという不安の声もありましたが、新たな客層を開拓できる上、観たことがないカードということでホーム・チームの客数の底上げもできたのではないでしょうか。横浜スタジアムではロッテのファンがレフトスタンドを埋め、内野を含めてもどっちがホーム・チームだか分からないくらいよく入っていました。

「楽天×巨人」も新鮮でした。フルキャスト宮城っていう球場を観ることができたのも楽しかったですし、巨人打線をねじ伏せるパのエース・岩隈も実に見応えがありました。スポーツ・ニュースでしか見たことがない選手の打席や投球をじっくり見れるのも交流戦ならではです。

ひいきのカープはというと、6、7日と西武を相手にふがいない試合をしていましたが、今日は打線爆発で快勝でした。といっても、ロッテの試合に比べたら全然大した得点に思えませんが…。まだ初カードではありますが、西武のファンもそこそこ入っていたようなのでちょっと安心しました。

このセ・パ交流戦、5月8日からという時期が非常に良かったと思います。それぞれのリーグでの対戦が一巡してまだ新鮮さが残るこの時期に、すぐ次の展開があるっていうことがファンの興味を惹きつけて離さない感じがしますよね。この展開のスピード感というのも今までの球界にはなかったことです。誰が時期を決めたのかは知りませんが、ファイン・プレーだと思います。

来週は「ロッテ×ヤクルト」へ行ってきます。

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母の日

5月8日は母の日でした。

毎年、ほとんど意識にはないのですが、5月に入る少し前くらいから花屋やデパートではギフト商品が並ぶので、それを見るともうすぐ母の日であることに気付かされます。

最近はよく自宅用に植物を買うので、フラワーショップでの買い物には比較的慣れています。そんなこともあって、今年はどっかの行きつけの花屋で何か買ってあげようと考えていました。

花を買いに行ったのは母の日当日の夕方でした。最初に近所の2件を回ったのですが、適当な品がなかったので買うのを見送りました。カーネーションの切り花はいろいろバリエーションがあったのですが、欲しかった鉢植えの方は値段が高かったり、気に入った色がありませんでした。

3件目の花屋へ行くと、カーネーションの他にアジサイの鉢植えがたくさん置いてありました。カーネーションもありきたりなので、青いアジサイで、これから咲くつぼみを持った鉢を選んで買いました。

実家へ帰ると、すぐに買ってきたアジサイを母に渡しました。どうやら誰からも花をもらっていなかったらしく、予期せぬ贈り物にとても喜んでもらえたみたいでした。表情や言葉より、心の中ではもっと喜んでいることが分かりました。

花はいろいろ迷ったけど、そんなことはどうでもよかったのです。贈り物は気持ちだなーと改めて思いました。

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May 06, 2005

インストール

GWの間に映画の1本くらい見ておこうと思い、コンビニで見かけて知ったDVD「インストール」を買いました(買ったのはヨドバシカメラなんだけど)。

人生の目標を見出せず、学校を行くのをやめ、ゴミ捨て場で知り合った小学生の男の子・かずよしとエロチャットのアルバイトを始めた女子高生・朝子の物語。

ストーリーは最初から最後までテンポを変えずたんたんと進んでいきました。速くもなく遅くもなく、劇中に惹きつけられるようなインパクトも特にないんです。見終わった後に思い返しても、特別印象に残ったシーンもありません。

でも、そんな抑揚のない展開と主人公を演じる上戸彩の存在感が妙にマッチしていて、何となく最後まで見てしまいました。上戸彩がきわどい台詞や演技でエロティズムを表現していることがひとつの売りというか話題性になっているようですが、どのシーンを取ってもいやらしい雰囲気は感じられず、むしろ爽やかにさえ感じられました。

振り返ると、抑揚はないけど物語の起承転結はきっちり組み立てられていました。それに進行がゆったりしているので、観る人は主人公に自分自身を投影する時間的余裕を与えられ、作品を観ながらいろいろ考えさせられるようにできていました。

観終わったとき、何だか清々しい気分になりました。主人公の朝子はエロチャットのアルバイトを経験し、それで人生の目標が見付かったわけじゃないし何も変わっていないんだけど、「生きてさえいれば、くだらなくてもそのうち目標はきっと見付かる」と元の日常生活へ帰っていきました。

また学校へ行くことを決めた朝子にかずよしが言った「インストールしたって初期設定に戻るだけ。何も変わらない。機能が増えるわけじゃない。」という台詞があるのですが、この作品が訴えるメッセージ集約されています。

(この作品の中で、動かなくなったPCにOSをインストールして再生するシーンがあります。なので、インストールという言葉が「初期化」という意味で使われているようです。)

若者に限らず、目標がなくて何をやったらいいのか分からないっていう人は多いと思います。もしかしたら自分もその一人かもしれません。溢れる世の中の情報に心を乱され、生きているっていうことの大切さをみんな忘れているのでしょう。今、生きている。明日へ向かって生きていく。人の原点に心を戻せば、くだらなくたって、小さくたって目標なんてすぐ見付かるのでしょう。

自分をインストールしたい、そんな人はこの映画を観てみては?

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May 04, 2005

前田という選手

4月30日の「広島×巨人」は実に熱い試合でした。

広島は初回に2点を奪うも、立ち上がり不安定な工藤をそれ以上攻めきれず、その後は追加点を取れませんでした。小山田の粘りの投球で中盤までは2-0を保ちましたが、7回に斉藤のホームランなどで3点を奪われ逆転を許しました。前日に清原の通算500号など打線爆発によって本来の姿を取り戻したように見えた巨人。その勢いがこの7回に見えた気がして、1点差ではありましたが流れは巨人と思えました。

ところが8回、今シーズン好調の新井の一振りがまた流れを引き戻しました。巨人の3番手、林を捕らえ同点ホームラン。今度は広島が9回表を抑えてサヨナラの勝機をうかがう展開と思えました。

しかし、この日の勝利の女神はどっちつかずでした。9回表、巨人の攻撃。無死1塁からショートゴロが飛び、その瞬間、スタンドを埋め尽くしたカープファンは誰もがこれで2アウトと思ったはずでした。ところが、尾形がまさかのトンネル。「おいおい、マジかよー!」と私は思わず天を仰ぎました。その後、無死満塁の絶体絶命のピンチとなり、失点覚悟、最悪の場合は大量失点で裏の攻撃を待たずしてゲームが決まることも覚悟しました。

ここでカープはルーキーの梅津にスイッチ。未だ今シーズン自責点ゼロだそうです。「こんな大ピンチになる前に出してやれよ」と思いましたが、ここは梅津投手に頑張ってもらうしかありませんし、もし打たれても彼は責められないと思いましたので、心中気分で投球を見守ることにしました。そしたら小久保が内野ゴロを打って、これがホーム・ゲッツー!なんということだ!!

またしても、流れがカープにきたようです。「気を抜くなよ」と祈るような気持ちで代打の江藤を迎える梅津投手を見守ることにしました。変則モーションのサイドスローから繰り出される切れの良さそうな投球は、選手名鑑に書いてある通り本物のようです。

しかーし、広島戦にやたら強い「裏切り江藤」が捕らえた打球は右中間方向へ勢いよく飛んでいきました。センターが追いつくかもしれないという期待もありましたが、緒方のダイブも虚しく打球は右中間を完全に破りました。3-5。「あーぁ…」。

9回裏、1死1塁で前田。投手は抑えの久保。もしホームランが出たら同点だけど、そんなことを言ったり考えたりしたときには一発なんて出るもんじゃありません。初球、タイミングが合わないのかインコースの落ちる球をバランスの悪いスイングで空振り。やはりホームランが飛び出すような雰囲気はありません。そして追い込まれたあとの何球目だったでしょうか。高めに入ってきたフォークボールを下からすくい上げるように捕らえました。打球は右中間方向へ飛びました。強い打球でした。すくい上げた分、飛距離が伸びないかもしれないと思いましたが、テレビに映し出されたその白球はホームランの軌道に乗っていました。そして、結構ギリギリでしたがスタンドに吸い込まれていったのです。まさかの同点ホームラン。打った当人、前田選手は興奮した様子もなく、落ち着いてダイヤモンドを一周しているようでした。

この場面で打てる、すごいことです。これは私の想像ですが、このとき、彼の頭の中には「最高の形で自分の仕事ができた」とか「チームに貢献できた」という意識は全くなかったんじゃないかと思うのです。きっと「尾形選手のエラーを帳消しにしてあげることができた」と安堵していたんじゃないかと思うのです。

前田選手がプロ2年目のとき、東京ドームでセンター前に落ちる打球を飛びつこうとして後ろにそらしたことがありました。普通に処理していれば単打一本で済んだのですが、1点勝負と試合の流れを考えてあえてダイビングして傷口を広げてしまったのでした。そのとき投げていたのは200勝を目指していた北別府。結局、その回の失点で北別府の勝ちはなくなったのですが、解説をしていた掛布雅之は「試合の流れを考えた前向きなプレー」と評しました。終盤8回、前田選手は自分のミスを取り戻すべく抑えの切り札・石毛から逆転のツーランホームランを放ち、涙を流しながらダイヤモンドを一周しました。

この日、久保から打った神がかり的ともいえるホームランを見たとき、凄まじいともいえる石毛から放ったあの一発のことをふと思い出したんです。きっと、ダブル・プレーにしたいと気負った尾形の守備を見て、何とかそのミスを救ってあげたいと思ったんじゃないでしょうか。

10回裏、広島は浅井の犠牲フライでサヨナラ勝ち。3塁ランナーの福井がホームに返ってきて審判がセーフの判定を下したとき、最も嬉しそうに感情をあらわにして喜んだのが前田選手でした。チームの勝利と、一人の選手のミスが敗戦の原因にならずに済んだことを純粋に喜んでいるように見えました。そんな彼に、私は一日でも長くプレーを続けて欲しいとただそれだけ願うばかりです。

余談ですが…。
この前日の試合から、巨人は新外人のキャプラーを外して清水がスタメンに起用されました。前年、セ・リーグ最多安打を記録した選手が、日本で全く実績がなくて、しかも開幕してから2割も打てないような外人選手のためにベンチを温める役に追いやられる、こんな不条理な話があるでしょうか。カープから見たら敵ではありますが、彼がスタメンで出てきてヒットを打ったときは良かったと思いました。同時に、腐らずいつでも出れるような準備をしていたんだということに感心しました。こんな仕打ちにあったら文句のひとつも言いたくなると思うのですが、そんな声は全く聞こえてこなかったですし、出たときはこうやって結果で示すあたりが素晴らしいと思いました。

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いちごの味

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先日、会社の帰りに花屋に寄ったところ、女峰(いちご)の苗木が売っていたので2鉢買って帰りました。本当はミントを買うつもりでだったんですが、売り切れて置いてなかったのです。

家にはいくつか植物を置いているのですが、「観る」ためのものばかりなので、食べたりできる種類も欲しいと思ってお茶にできるハーブをと思ったのですが、いちごなら直接食べられるので是非買ってみようと思いました。確か、1鉢100円だったと思います。

室内の日当たりのよい場所に置いて毎日水をあげました。2週間くらい経った頃、一番大きな実が色づき始めました。そして甘い香りを放つようになったので、3日くらい前から食すタイミングを計っていました。買った時点で既に4月だったし、次にいつ実がなるのかよく分かりませんでしたが、よくぞ短期間で成長してくれました。

そして先ほど、成熟した一粒の女峰の実を採取しました。アップロード用の写真撮影をして、そのあと冷蔵庫で少々冷やしました。スーパーで買ってくる女峰と同じものが食べられる、香りから想像するとそんな期待が膨らみました。10分くらい冷やしたでしょうか、やっと食べられるときがきました。水で洗い、すぐに口に入れました。

気になるお味は、「微妙ー…」。

食感は普通ですが、甘さはなく、かといって酸っぱいわけでもなく、味があまりしませんでした。見た目は立派ないちごだったんですけどね。いちごの空洞化現象といいたくなるほど内容のない実でした。

ビニールハウスほど強い日が当たっていないからなのか、肥料をあげていないからなのか、原因はよく分かりませんが、水をあげるだけでは実の味はよくならないようです。

さっき鉢を確認したら、次の実は2つあって、1週間くらいしたらまた食べられそうです。でも、食用に買ったいちごの苗木も、結局他の植物と同じく観賞用になりそうです。

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