晴れ間がのぞいたと思ったら、次の瞬間には雨が落ちてくる、まるで小さな子供の表情みたいな空模様。そんな中、私は鎌倉市の東部、二階堂の細道を瑞泉寺へ向かって歩いていました。
瑞泉寺へは鎌倉駅から歩いて行くこともできますが、往路は鎌倉宮までバスに乗り、そこから歩くことにしました。バスを降りたら鎌倉宮の脇を真っ直ぐ先へ進みます。車がすれ違うのがやっとなくらいの狭い道で、自分の足音がこだまするくらい静かな山の中でした。ひぐらしの鳴き声が晩夏を思わせます。

鎌倉宮から7~8分歩くと、瑞泉寺の入口に到着です。その先は山に囲まれ、奥に本堂の屋根がわずかに見える他は、伽藍の様相が全くわかりませんでした。お寺ということを知らなければそれと分からず、単に日本庭園か何かと思ってしまうことでしょう。

入口で拝観料200円を払い、中に入ると、左手に庭園を見ながら先へ進んでいきました。すると階段があって、山の上へ上がっていきます。そして階段を上りきると山門があるのですが、この山門を抜ける次の瞬間が、私がこのお寺を訪れて感じた最高の風情なのです。




写真では伝わりにくいのですが、門を抜けた瞬間視界に飛び込んでる、日本庭園の魅力を凝縮した絵画のような景色があまりにも素晴らしいのです。これが紅葉の季節だったらどんなに美しいものか、想像を絶します。
境内は花や木々が溢れんばかりで、それでいて整然としているので、気品がありながら万人を楽しませてくれる華やかさも持ち合わせているように思います。

本堂をあとにして総門へ下りてくると、そこはやはりお寺であることを忘れてしまいそうな静かな山の中。さっきの景色を思うと、龍宮城へでも行って帰ってきたような気分と言ったら大袈裟でしょうか。それにしても、このお寺は私にとって存在の仕方がとても興味深いのです。山に囲まれているせいもあり、外周からは存在感をあまり感じないのですが、かといって隠れようとしているわけでもなく、中では堂々と存在しています。外見の印象ではなく、中身を重んじるという思想なのでしょうか。
ここ、瑞泉寺の空気は静かで穏やかでありながら、周囲に影響されない強さのようなものも感じます。かといって疎外された感じもなくて、何とも言い難い不思議な空間です。
Recent Comments